アマチュア無線、通称「趣味の王様」が、最近再び人気を博しています。携帯電話の普及で一時は愛好者が減少しましたが、シニア層の間での再開や、若い世代の関心が高まるなど、回復の兆しを見せています。
柳澤秀夫さん(70歳)のようなベテラン愛好者は、無線を使って自分の居場所を放送局に変え、海外の人々と交流を楽しんでいます。彼は現在、マイクロ波を使った無線機作りに夢中で、その過程を楽しんでいます。
日本アマチュア無線連盟によると、会員数のピークは1994年の約19万4000人でしたが、2021年は6万5788人と前年から574人増加しました。この増加は27年ぶりのことです。1990年代に若者だった人々が60歳前後になり、時間に余裕ができたため、再び趣味を再開しているとされます。また、コロナ禍で自宅で趣味を楽しむことが多くなったことも、この増加に影響を与えています。
神奈川県の横田勝彦さん(62歳)は約30年のブランクを経てアマチュア無線を再開しました。彼のように、子育てが一段落した女性や、定年退職して時間ができた人々が趣味を再開するケースも多いです。
若い世代の間では、早稲田大学や東京学芸大学、九州工業大学の無線サークルが復活するなど、関心が高まっています。デジタルネイティブ世代は、スマホやSNSとは異なる無線の魅力を感じています。彼らは無線の仕組みを理解し、操作することに心地よさを感じているといいます。
野村総合研究所の林裕之さんは、現代における「不便益」というキーワードを挙げています。一見面倒でも、試行錯誤する過程を楽しむことや、常につながっていることをストレスに感じる人々にとって、無線は自分のペースで発信できる趣味として魅力的です。また、愛好家の少ない趣味を共有することによる仲間意識も持てると指摘しています。